肝臓とは
肝臓は何をするところ?
肝臓のおもな働き
- 消化液である胆汁をつくる
- 消化した栄養素から、生命維持に必要な物質を合成する
- 養分を貯めておき、必要になったら血中に放出する
- 体内に入った毒物を中和・解毒する
- 免疫細胞により細菌やがん細胞、異物を処理する
肝臓は、血管や神経を除けば肝細胞と胆管細胞で構成されています。
消化管から吸収された栄養は、門脈という血管を通って肝臓に運ばれて、アルブミンや凝固因子(出血予防)などのタンパク質、コレステロールなどの生命維持に重要な物質に合成されます。
また肝臓は、体内に入った薬剤の代謝と排泄を行ない、さらに消化管から流入してくる体に不要な毒物の解毒作用をもっています。
肝臓の再生能力
肝臓はとても再生能力が旺盛な臓器で、正常な肝臓の約70%を切除しても人は死ぬことなく、体内でその空いた空間を埋めるように残った肝臓が増殖して、元のサイズに復活します。
劇症肝炎でない限り、肝臓細胞は1回ダメージを受けたからといってすぐに機能不全には陥らず、何度でも再生を繰り返して生命の恒常性を保とうとします。
ただ、さすがに長期間にわたって破壊再生を繰り返すと、徐々にケロイドのような線維に置き換わって肝硬変へと変貌していきます。
肝臓病とは
肝臓病とは
血液検査としてはAST、ALT、γGTP、ALPなどがあります。(注1)
いずれの疾患でも、肝臓は沈黙の臓器といわれるように自覚症状がほとんどないことが多いのですが、肝機能が落ちることで、全身の倦怠感や易疲労感(疲れやすさ)、食欲不振などを感じることがあります。
気づかずに悪化していくと、黄疸や浮腫み、腹水など肝硬変に伴う症状が現れてくることがあります。
肝臓の症状の進行
- 急性肝炎 … 一時的に炎症を起こしている状態で、原因が除去されれば回復します。
- 慢性肝炎 … 6ヵ月以上炎症が続いている状態です。放置すると肝硬変や肝臓がんに進行することもあります。
- 肝硬変 … 破壊と再生を繰り返した肝臓が固い線維状になって元に戻らなくなる状態です。機能が低下し、肝臓がんが発生しやすくなります。
- 肝臓がん
※上記は症状の程度を示すもので、必ずしも上記の通りに進行するわけではありません。
注1.AST(GOT)やALT(GPT)などは逸脱酵素とよばれ、肝臓細胞が破壊された結果として血液中に増加してきます。ALTはほとんどが肝細胞に存在しますが、ASTは肝臓の他に筋肉、心臓、腸などにも存在するので、診断する際は解釈に注意を要します。γGTPやALPは胆道系酵素とよばれ、肝臓内で生成された胆汁が腸管に流れ出るまでに排泄障害をきたした場合に上昇し、ビリルビンの上昇も伴います。また、γGTPはアルコールで誘導されます。
肝臓病の一覧
ウイルス性肝炎(B型肝炎・C型肝炎)
脂肪肝
自己免疫性肝臓病(自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎)
原発性胆汁性胆管炎は、肝臓で作られた胆汁(消化液)を運ぶ細い胆管が破壊されてしまう疾患です。
どちらも中年以降の女性に多く発症します。投薬で速やかに改善できるため、早く気づいて治療を始めることが大切です。