脂肪肝
飽食の時代、健康診断での肝機能障害の原因で最も多いのは脂肪肝です。糖質や脂質の食べ過ぎにより、中性脂肪が肝臓に貯まりすぎた状態で、いわゆる“フォアグラ状態”です。
脂肪肝の診断は腹部エコー検査で容易に確定できます。
脂肪肝の原因
原因は肥満やメタボ、アルコール、運動不足、糖尿病、薬剤性など多岐にわたります。
これまで一般的には、脂肪肝と診断されると皮下脂肪や内臓脂肪と同じように太り過ぎ、カロリーオーバー、飲み過ぎなどに注意するという対策のみで、疾患とは認識されてきませんでした。
しかし、そのなかに楽観視できない脂肪肝が存在することが近年明らかになってきました。
楽観視できないというのは、肝硬変や肝臓がんになる恐れがあるからです。
非アルコール性脂肪肝炎
またNASH(Non-alchoholic steato hepatitis・非アルコール性脂肪肝炎)といって、アルコールは飲まないのにあたかもアルコールを飲んでいるかのような炎症を伴った脂肪肝が引き起こされる病態が存在します。
NASHの原因は不明ですが、多くは糖尿病やメタボや肥満が一因とされていますが、投薬が原因で発症する場合もあります。そして、普通の体格の方にも起こりうる病態です。
脂肪肝の診断
血液検査で肝機能を調べます。
肝機能検査(AST、ALT)での正常な数値は、30未満が基準値とされていて、これは生まれたときのきれいな肝臓の状態です。
しかし、一般的に健康診断の正常とされる基準値は40か45未満とされています。しかし、この数値では軽度の肝臓病が見逃されてしまうおそれがあります。
確定診断する場合は、皮膚から細い針を肝臓へと突き刺し、肝臓の一部を採取する肝生検を行ないます。
脂肪肝の治療
NASH以外の脂肪肝はその原因に対する対策になりますがNASHは確固たる原因が不明なため、有効な治療法がありません。
運動やダイエット、糖尿病の管理などで内臓脂肪とともに肝臓の脂肪を減らしながら、肝臓庇護剤などで肝機能の安定化を図り、肝硬変、肝臓がんへの進展を予防する必要があります。