アルコール性肝障害
アルコール性肝障害は飲酒によって起こる疾病の総称で、脂肪肝型、肝炎型、線維症型があり、さらに進行すると肝硬変になります。
診断は、血液検査による肝機能検査と、飲酒歴・飲酒量と、アルコール以外の原因がないことを確認したうえで行ないます。
自覚症状のない方が多いのですが、他の肝疾患同様に、疲れやすさや食欲不振などを感じる場合があります。
重症化すると飲酒をやめても改善せず、さらに腎不全や消化管出血、脳に影響を及ぼす肝性脳症など重篤な合併症を引き起こします。
この疾患の治療の基本は、とにかく断酒することです。
飲酒と肝臓
「酒は百薬の長」ともいわれ、適量ならストレス発散、血流改善、食欲増進、免疫力アップなどに寄与しますが、大量に飲むと膵臓や心臓や脳にも障害をきたします(注9)。
お酒を飲んで赤くなる方は生まれつき遺伝的にアルコール代謝が不十分なタイプで、アセトアルデヒドという有害物質が溜まって顔が赤くなったり動悸がしたりします。
下戸とよばれる方は完全にアセトアルデヒドを分解できないのでほとんど飲めませんが、赤くなりながら飲める方は、アセトアルデヒドを不完全でも分解できる方です。
飲んでもまったく顔色を変えない方は遺伝的にアセトアルデヒドを完全分解できるので不快感は自覚しませんが、とことん飲めるのでアル中になる確率が高くなります(注10)。
注9.飲酒の適量とは、1日当たりビール500ml、日本酒1合かワイン2杯、ウイスキーダブル1杯のいずれか、常習飲酒家は毎日3合以上、大量飲酒家は5合以上をさし、女性は男性の2/3量で障害をきたします。
注10.お酒が強い、弱いは遺伝的に決められています。欧米人や黒人の多くはアセトアルデヒド完全代謝タイプで顔色が変わりませんが、日本人は不完全代謝タイプが多いので、海外の方にビックリされます。アセトアルデヒドは遺伝子を傷つけるため、発がんとの因果関係が疑われています。